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全国の自治体でおこなわれている健康増進活動の取り組みを紹介しています。
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愛知県東郷町

健康寿命延伸のカギは幼児期にあり! 将来の生活習慣病予防に向けた「幼児期からの運動習慣づくり」

運動能力の向上だけでなく、園児のケガの減少や運動好きの子どもの増加といった成果も

運動プログラムを検証するため、各園では50m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げの3種目の記録を毎年測定しています。走・跳・投の基本的動作の獲得状況は事業を開始した平成24年度からの比較で、好ましい変化がみられており、特に毎日のように紙飛行機飛ばしを行っていた園は、ソフトボール投げで良い結果につながりました。
また、町立小学校1年生の運動能力測定では、3種目すべてで、運動あそびを経験した町内の保育園出身の児童の平均が、運動あそび未経験の他園(私立幼稚園など)出身の児童の平均を上回っていました。


さらに、保育士へのアンケート結果からは、「園児同士がぶつかる衝突事故が減り、ケガも少なくなった」「体力がついて病気で休む子が減った」「体を動かすことを楽しむ姿がみられる」「運動しようという意欲がみられる」といった変化が報告され、数値では表せない面でも子どもたちの成長を実感しています。
また園児たちに行った聞き取り調査の結果では、90%以上の子どもが「運動あそびタイムが楽しい」と回答しており、子どもたちが体を動かすことを「楽しい!」「心地よい!」と感じている様子がうかがえました。

幼児期から体を動かして遊ぶ習慣をつくるには保護者の協力が不可欠であることから、保護者への啓発にも力を入れてきました。少なくとも年1回は各園で親子の運動あそび「親子体操」を実施し、家庭でできる運動を紹介しています。これまでは子どもが遊ぶのを見ているだけだった保護者も、運動あそびを知ることで子どもと一緒に楽しく体を動かせるようになり、親子のコミュニケーションにも好ましい変化がみられるようになりました。そのほか、動きの心地よさが味わえる東郷町オリジナルの幼児向け「げんき体操(企画は東郷町、作成はTIS、そして監修は、順天堂大学の内藤久士教授(大学院スポーツ健康科学研究科研究科長・学部長)。)」は毎日みんなで実施していますが、東郷町でのイベントや文化祭で披露したり、園の行事の中で親子運動あそびを取り入れた内容を企画したりと、幼児期の運動促進に対する理解を深めてもらう取り組みを各園で実施することで、本事業に対する保護者の興味や理解が年々高まってきていると感じています。


小学校入学後も運動あそびを継続し、「生涯健康習慣」づくりを推進!

平成24年度からスタートした本事業も7年目を迎え、運動好きの子どもの増加、小学校入学後の体力・運動能力の向上のほか、幼児期からの運動習慣づくりへの保育士・保護者の意識の高まりなど、一定の成果が表れてきています。
保育士たちの幼児期における運動あそびの重要性に対する理解も深まり、指導力も大きく向上しました。保育士が研修会などで各園の運動あそびを発表し合い、活動内容を共有して、町内のどの保育園でも同様の取り組みを行える体制がつくれたことは、成果につながった要因のひとつだと思います。

今後の課題としては、ここまで保育士たちが培ってきた経験や知識を、新任の保育士たちに継承していくことが挙げられます。課題解決の一環として、平成29年にはこれまでに行ってきた研修内容と運動あそびをまとめた冊子「運動あそび集」を作成しました。これまで蓄積したノウハウを資料として残しておけば、この先、本事業に予算がつかなくなったとしても、各園の保育士たちが取り組みを継続していけると考えています。

もうひとつの課題は、小学校入学後の運動あそびの継続です。小学校の先生方も、児童の体の硬さや体力・運動力の低下などを心配されているものの、決まった年間指導計画の中で運動あそびを授業に取り入れることが難しいことなどの理由から、導入は見送っておられました。しかし、平成27年度からは町立小学校1校をモデル校に、運動促進事業を推進できる体制を整えました。また、平成30年度には保育士と小学校教員が合同でTISの研修を受講することが決まっており、保育園で取り組んできた運動あそびを町立小学校全校で展開できるきっかけになればと期待しています。

本事業の推進をきっかけに、東郷町では平成26年にTIS、順天堂大との産官学で健康づくりなどに関する包括的な連携協力協定を締結、平成29年度には協定を更新し、3者で連携しながら幼児期からの「生涯健康習慣」づくりを推進していく体制を整えました。幼児期からの運動あそびが将来の健康寿命の延伸につながるかどうかを評価するには、今、保育園で運動あそびを経験している子どもたちが成長するのを待たなければなりません。本事業のゴールはまだまだ先ではありますが、東郷町の住民が生涯健康で、笑顔で過ごせるよう、今後も幼児期の運動促進を継続し、将来の生活習慣病予防、介護予防をめざしていきたいと思います。


東郷町はこんなところ


4万3000人を超える人が暮らす愛知県愛知郡東郷町は、名古屋市と豊田市のベッドタウンとして住宅地開発を中心に発展してきた町だよ。でも市街地の周辺には今でもきれいな水辺と緑の自然環境が残されていて、快適でうるおいのあることが特色なんだ。中でも愛知池は水と緑の象徴となる場所。町のスポーツとしてボート(レガッタ)を推進していて、毎年町民レガッタが開催されているよ。平成30年度は全国高等学校総合体育大会のボート競技も平成30年度は全国高等学校総合体育大会のボート競技も行われるんだって。



東郷町民レガッタ

東郷町では、ボートを町民スポーツと位置づけ、全国に「水と緑のボートのまち」をアピールしているよ。たくさんの人にボートの楽しさを知ってもらおうと、愛知池漕艇場ではボートの貸出しやボート教室を開いているんだって。これからも町民の健康づくりと全国のボート愛好者のふれあいや集いの場として頑張っていくよ。みんなもレガッタの大会には応援に来てね!


トッピィ

東郷町イメージキャラクター・トッピィは東郷町の森で生まれた妖精で、若き偉大な王子様。東郷町の「ト」と幸せ=ハッピィの「ピィ」を組み合わせて名づけられたんだ。頭の王冠は町の木「モッコク」をイメージしたもので、首には町の花「アヤメ」があしらわれているよ。手に持っているのは「ボートのまち とうごう」をアピールするためのオールだよ。