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岐阜県多治見市

吸わない環境を当たり前に!全世代の市民を対象にした「受動喫煙のないまちづくり」事業

小中学校で「はじめの1本」から遠ざける防煙教育を。
万が一喫煙してしまった高校生には禁煙をサポート

喫煙対策の3本目の柱である「未成年者の喫煙対策」は、喫煙経験がない人に「はじめの1本を吸わせない」ことに重きを置きました。
市内の小学4年生から6年生、中学2年生に対して学校で喫煙を防ぐ教育ができるよう指導案を作成し、防煙教育を行っていただいています。指導案の作成は、モデル校に決まった先生方が意見を出し合い、教育委員会と共に行いました。学年ごとに異なるテーマを定め、小学5年生はたばこの依存性を知るために喫煙者にインタビューを行う、中学2年生ではロールプレイで友達に誘われた喫煙を断る疑似体験をするなど、座学だけでなく、児童・生徒が動いてたばこについて理解を深める場となっています。
乳幼児に対しては、どのような教材なら伝わるかを考え、デザイン科がある市内の工業高校の生徒に作画をお願いして紙芝居を作成し、公立保育園と幼稚園に配布しました。たばこの害について、そして多治見市が喫煙対策に取り組んでいることが保護者にも伝わるように、保護者が揃う保育参観などで読んでいただけるようお願いしています。

また、高校生については、喫煙をしないよう呼びかけていますが、万が一喫煙してしまった生徒には、喫煙を未然に防ぐ中学生までとは違う対策が必要です。そこで本プランでは、禁煙治療を視野に入れ、医療機関の適切な指導のもとで禁煙に取り組めるよう、市内のクリニックに協力を依頼しました。高校生が禁煙治療を行う場合の診療費を低料金に設定し、市が作成した、禁煙支援を希望する旨が書かれた名刺大の「禁煙パスポート」を持参すれば、5日分の禁煙補助剤を無料で受け取れるようにしました。禁煙パスポートについては、生徒と保護者それぞれに配布するお便りに掲載したほか、校内に掲示したたばこに関するポスターにも添えています。

※未成年への禁煙治療サポートについては、平成28年4月1日の診療報酬改定に伴い、現在は終了しています。


各年代で喫煙率が減少! 13・14歳は目標の0.0%を達成

本プランの最終評価において、母親の喫煙率は平成12年度の11.1%から平成22年度の4.3%まで減少、妊婦の喫煙率も5.6%から2.8%に半減しました。思春期の喫煙率は13・14歳で男女とも0.0%となり、16・17歳女性は10.9%から0.8%まで低下しました。全年齢では、男性は47.5%が26.1%に、女性は11.7%が6.4%になり、全国と比べても低い数値となっています。



高校の養護教諭とは年2回意見交換会を開催して、情報交換をしていますが、以前は校内で喫煙した生徒への指導が年間数十ケースほどあったのに対し、現在は全くないとのことです。公共施設敷地内禁煙を実施した年に市役所職員の喫煙率が大きく低下していることが明らかになっており、環境整備が大きく作用している可能性が考えられます。また、私たちは、環境整備はしっかり行い、反対に喫煙者それぞれへの指導は気持ちに寄り添い行うよう心がけてきました。国が喫煙対策を強化した追い風もあったと思いますが、ライフステージに合わせて行った指導も功を奏したのではないでしょうか。
一方で、禁煙チャレンジに参加する方は、本プランスタート時に比べ大幅に減っています。医療機関で禁煙治療を行う方が増加しているのか、喫煙率の低下によるものなのかわかりませんが、継続して実施する意義を考える必要があります。


ボランティアや民間企業も巻き込み、地域ぐるみで喫煙対策を

喫煙対策を推進するうえで難しかったのは4本目の柱の「周知・啓発」である、市民の皆さんに市の取り組みを知っていただくことと、喫煙者に禁煙について理解していただくことでした。
本プランスタート時には町内会などへの出前講座を数多く開催して喫煙対策についてお話ししました。また、市民への啓発活動は、健康づくり事業を推進するために市が委嘱している健康づくり推進員(ボランティア)に協力していただいています。約90名いる健康づくり推進員は6つの部会に分かれています。啓発に関してはヘルスアップ部会の方々がアイデアを出し合いながら、世界禁煙デーにショッピングセンターで喫煙状況を尋ねるアンケートを実施したり、毎月22日に路上禁煙地区で受動喫煙防止啓発チラシを封入したポケットティッシュを配るなどの活動を行っています。
喫煙者に禁煙をお勧めしても、受け入れていただくのは容易ではありません。たばこの害だけでなく禁煙のメリットを強調すると同時に、「あなたの煙によって周りにいる喫煙しない人の健康に悪影響があるんですよ」と受動喫煙防止という観点で理解していただけるよう働きかけています。

平成25年度からスタートした第2次たじみ健康ハッピープランでは、総務課や人事課など市役所内の各課を始めとして、多治見市医師会、多治見市歯科医師会など30超の関係団体が3つの優先事項に関する行動計画を掲げています。その中では、それぞれの団体ごとに「自分たちが実施できる取り組みとは何か」ということを十分に検討し、市民や職員・社員への受動喫煙に対する啓発や禁煙支援など効果的に推進していくための具体的な取り組みが示されています。これは、保健センターだけで喫煙対策を推進するのではなく、市役所全体で、さらに関係機関や地域企業との協働で取り組んでいくことをあらわしています。地域ぐるみで取り組むことがさらなる相乗効果を生み出し、本プランが目指す「健康でいきいきと幸せに暮らすことができるまち」の実現に近づくことになると考えています。


岐阜県多治見市はこんなまち


岐阜県の南部に位置する多治見市は、陶磁器の国内生産量の半分を占める「美濃焼」の産地なんだよ。40.9℃という日本最高気温記録を出したこともある、「暑い」街でもあるんだって。暑い街で、熱い窯に向かう陶工さんが、バテないように高たんぱくでおいしい鰻を食していたから、今も鰻が名物料理なんだ。多治見市のマスコットキャラクター「うながっぱ」は、アンパンマンの生みの親、やなせたかし先生がデザインしているんだよ!



うながっぱ

多治見市の大人気マスコットキャラクター。「皿を割られたかっぱ様」の話が起源で、多治見市の名物であるうなぎを好んで食べたかっぱ様とも、うなぎとかっぱ様のハーフとも言われているんだ。水遊びが大好きで、趣味は「食べ歩き」と「密かに永保寺で座禅を組むこと」らしいよ。


モザイクタイルミュージアム

「美濃焼」の産地である多治見市は施釉磁器モザイクタイルの発祥地でもあるんだ。タイルに関して収蔵しているこの美術館のユニークな外観はタイルの原料である粘土山をイメージしているんだよ。


永保寺

鎌倉時代に創建された歴史を誇る永保寺。観音堂と開山堂は国宝に指定され、池泉回遊式庭園が国の名勝に指定されているよ。樹齢約700年の大銀杏も魅力のひとつなんだ。