地域に根付いた「実践リーダー」が活躍!
「元気に“動こう・歩こう”プロジェクト」

群馬県では、健康寿命の延伸を実現することを目標に、県民が健康意識を高め、主体的に健康づくりに取り組めるように、その指針となる「ぐんま元気(GENKI)の5か条」を2016年に策定、県民運動として展開しています。この施策の第1条をもとに、市町村や企業を巻き込んだ「元気に“動こう・歩こう”プロジェクト」を実施した結果、2019年に「第8回健康寿命をのばそう!アワード(厚生労働省・スポーツ庁主催)」のスポーツ庁長官優秀賞を受賞しました。今回は、群馬県健康福祉部保健予防課、健康増進主監の阿部絹子さん(2020年2月取材当時)に、「元気に“動こう・歩こう”プロジェクト」を展開した経緯や取り組みについてお話をうかがいました。
発信力を強化。県民目線で、わかりやすく覚えやすい伝え方を考案!

「ぐんま元気(GENKI)の5か条」を始めるにあたり、発信力の強化と科学的根拠に基づく施策の2点を重視しました。健康づくりの大切さを県民に向かって唱えているだけでは、県民に浸透するのは難しいことが理由です。また、私たちは健康意識の高い人よりも、低い人に健康情報を届ける必要があります。
「ぐんま元気(GENKI)の5か条」は、「GENKI」の文字1つずつにそれぞれのテーマが込められており、5つをすべて実践することで、「元気」につながるというコンセプトです。
ところが、県民からは「5つも覚えられない」という声が上がるなど、周知は思うように進みませんでした。それと同時に、県民健康調査の結果から、県民の歩数が全国に比べて少ないことが課題となっていました。
そこで、まずは第1条の「げんき(元気)に動いて」にフォーカスした施策を実施することにしました。
健康意識の低い人こそがターゲット。 「運動」ではなく「動く」をキーワードに!

2018年度から「支援・拡大・定着化」という3つの柱からなる「元気に“動こう・歩こう”プロジェクト」がスタートしました。群馬県としてもっともこだわったのは、「運動」することではなく「動く」ということです。現在の超高齢社会に鑑みると、「運動」をするよりも、身体活動量を増やすことが重要なポイントだと考えました。例えば、ほとんど動かない人なら、家から一歩だけでも外へ出る、家の中で掃除機をかけるなど、日常生活のなかで今より少しでも多く「動く」ことだけで身体活動量は増えます。
「動く」にこだわった理由はこれだけではありません。運動が好きな人は、「運動しましょう」というと積極的に参加してくれますが、私たちがターゲットとする運動から遠ざかっている人たちは参加しない傾向にあります。そこで、あえて「運動」という言葉を使わず、運動が苦手な人でも参加しやすいようハードルを下げたというわけです。

運動が苦手な人に「動く」を実践させる方法とは?
人材育成が成功の鍵!
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