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大阪府東大阪市

行政と市民グループがスクラムを組んだ!
市民協働で展開する健康づくり活動と認知症予防

「東大阪市民がともに支えあい、健康で心豊かに生活できる活力ある社会の実現」を基本理念に、平成25年度から健康増進計画「健康トライ21(第2次)」を推進する、東大阪市。市民が主体的に健康づくりに取り組み、継続できる社会環境を整えようと、市民グループとの協働でさまざまな活動を展開してきました。特に、認知症予防のための「健脳エクササイズ」や、「東大阪健康マイレージ事業」などのイベントが好評で、楽しみながら健康づくりに取り組む機運の醸成につながっています。健康づくりに関連する施策や取り組みを担当する、東大阪市健康部 保健所 健康づくり課の髙本方子さんにお話を伺いました。


市民グループの力を結集! 市民感覚の健康づくり推進を目指す

東大阪市では、平成24年度に策定された第2次東大阪市健康増進計画「健康トライ21」(第2次)に基づいて、目標の1つである「健康寿命の延伸」と、生活習慣病の予防と重症化の予防に取り組んでいます。健康トライ21(第2次)の推進にあたり、大きな力となっているのが、健康づくりに関する市民グループの集合体である、「健康トライ21市民連絡会(以下、市民連絡会)」の皆さんです。

市民連絡会は、保健所・保健センターが育成・活動支援している市民グループ間の交流を目的に、平成18年に発足しました。健康づくりを進めるには個人の努力はもちろんですが、個人が自主的な健康づくりを継続しやすい環境づくりも必要です。健康づくりに関心を持つ市民グループの皆さんにお互いの活動を知ってもらうことで、市民感覚に合った取り組みや、健康に関する活動について普及・啓発できるのではないかと考えました。

地域の健康づくり活動の担い手となる市民グループの育成と活動支援は、以前から地域の保健センターが中心となって行っていました。具体的には、保健センターが糖尿病や高血圧といった病気をテーマにした健康教室を開催、教室終了後にOB会の立ち上げを呼びかけ、参加者が教室で学んだ生活習慣の改善を継続していける場をつくります。
保健センターの保健師がアドバイザーになりますが、行政主導だった健康教室とは異なり、OB会は参加者主体が原則です。組織の体制や活動内容など具体的な運営については参加者同士で意見を出し合っていただき、保健師は各OB会が自主的な活動を展開していけるようサポートします。

座学中心の健康教室だけでなく、水中ウォーキング教室などの運動教室、介護予防教室などからも主体性を持ったOB会が数多く発足しました。これらOB会が現在の市民グループの前身にあたり、健康ウォーキングの実践や調理実習、劇・人形劇という手段を用いた禁煙・生活習慣予防の啓発、折り紙を通しての介護予防ボランティアなど、さまざまな切り口で健康づくり活動に取り組んでおられます。

市民連絡会を立ち上げるにあたって各市民グループに参加を呼びかけたところ、14団体、1,262人の皆さんが参加してくださり、行政と市民の協働による健康づくり活動がスタートしました。


運営体制を行政主導から市民主体へと転換し、マンネリ化を打破!

健康トライ21(第1次)の計画期間は平成24年度で終了しましたが、平成25年度からの新しい健康増進計画「健康トライ21(第2次)」では、引き続き市民連絡会との協働で健康づくりを推進していくことになりました。

健康トライ21(第2次)の策定にあたって市民連絡会で計画案を検討していただいたところ、非常に活発な意見交換がなされ、市民連絡会として東大阪市での健康づくりの立ち位置が再認識されました。これが会員の皆さんの達成感となり、「新計画でも自分たち市民連絡会が主体となって健康づくりに取り組んでいこう」という機運が高まったように思います。

その一方で、これまでの活動を振り返り、いくつかの課題も浮かび上がってきました。ひとつは市民連絡会の運営体制です。
市民連絡会は年3回会合を持ち、各グループの代表者が出席して活動報告や情報交換、健康づくりに関する研修会などを行っていました。しかし、会合は行政主導で企画・運営されていたため市民連絡会の主体的な活動になりにくく、「保健センターの職員が何か考えてくれる」という受け身なムードも少なからずあったと思います。
また、各市民グループではそれぞれに工夫を凝らして健康づくりの取り組みを行っていたものの、市民連絡会の会合では各自の活動報告のみに終始して進展がなく、研修会の内容もマンネリ化の傾向にありました。

そこで、行政と市民連絡会の有志会員で話し合いを持ち、これまで決めていなかった会長、副会長を選出し、今まで行政側で行っていた議事進行を会長にお任せすることにしました。さらに役員会を設置し、まず役員会で市民連絡会として取り組む事業について協議し、その内容を後日開催される市民連絡会(全体会)で報告するというスタイルに変更しました。これにより、役員会が中心となって事業の企画に取り組むなど活動が主体的になり、マンネリ化の解消につながりました。

平成18年の市民連絡会発足当時を振り返ると、運営体制がそれまでの行政主導から市民主体の運営に転換したことで活動がずいぶん活性化したと感じます。会員の皆さんも自分たちでアイデアを出し合い、形にした取り組みが地域で喜ばれるという経験を積み重ね、健康づくりの活動にやりがいや楽しさを感じておられるようですね。私たち行政サイドにとっても、市民連絡会の役員会や全体会は市民目線の意見をダイレクトに聞くことができる貴重な機会であり、非常にありがたく思っています。


見事マンネリ化を打破し、新たな取り組みに着手! その内容とは……?