全国の健康増進活動を発信「社会にひろげる予防医療!」

企業・健保組合での 活動事例

自治体での活動事例
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全国の企業・健保組合でおこなわれている健康増進活動の取り組みを紹介しています。
ぜひとも、皆さまの企業・健保組合での活動の参考にしてください。記事は50音順(企業名)やキーワードでの検索が可能です。

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凸版印刷株式会社

社員の心と身体のコンディションを整えて職場全体を活性化!
多彩な働きかけで、社員の「やる気」「元気」「本気」を引き出す!

凸版印刷株式会社では、「企業は人なり」という理念のもと、従業員が、「やる気」「元気」「本気」の3つの「気」をもつことで、それぞれの力を十分に発揮することが大切だと考え、従業員の健康づくり活動を実施。社員一人ひとりへの多様な働きかけを通して、職場全体の活性化につなげています。「こころのコンディションとからだのコンディションは切っても切れない関係」と語る、人事労政本部労政部兼ダイバーシティ推進室課長の馬渕聖子さんと人事労政本部の石島啓太さん、トッパングループ健康保険組合ヘルスケアチーム課長である梅木稔さん、同チームの石岡秀規さんに、心と身体のコンディションを整えるためのメンタルヘルスケアと運動支援について、お話をうかがいました。

グループ全体約160名にヘルスケア推進委員を委嘱。
社員一人ひとりにいきわたる体制づくりで健康づくりを推進!!

凸版印刷では、創業以来「人間尊重」という基本理念のもと、「じんざい(人材)」と呼ぶときも「人財(人はたから)」と書き、「人がいなければ社業は続けていけない」という考えを大切にし、会社と健康保険組合が協力しながら、健康づくり活動を行ってきました。また、大事な「人財」が安全に、そして安心して仕事を続けていくことも大切ということから、安全衛生にも力を入れてきました。そして、2015年10月に「健康経営」という視点から、会社と健康保険組合のそれぞれの取り組みを体系化し、「健康経営宣言」を発表。従業員とその家族の健康づくりを一層推進するとともに、ヘルスケア関連事業を通じて、世の中すべての人の健康づくりに貢献するという2つの軸を打ち出しました。
「健康経営宣言」を発表した後、以前から取り組んでいた健康づくり体制を改めて見直し、トッパングループ全体で約160名のヘルスケア推進委員を任命し、定期的な研修を通して、各事業所の健康づくりを推進しています。
トッパングループは、印刷テクノロジーをコアに、エレクトロニクスや産業資材など事業領域が多岐にわたるため、その事業所ごとに健康づくりの方法も変わってきます。そのため、現場を良く理解し、かつコミュニケーションを円滑にとれる社員が健康づくり活動を推進していけるだろうと考え、このような形をとってきました。


また、トッパングループ内で優秀な活動をしている事業所を表彰する「トッパングループ健保ヘルスケアアワード」も、2019年度までに3回開催しました。さらに、健康診断結果は個人向けだけではなく、事業所単位のレポートをつくり、順位付けをするようにしました。事業所ごとに「見える化」をすることで、事業所単位の意識向上につながっており、最下位の事業所では、すでに行動変容が起こっているようです。


「アートサロン」で心をリフレッシュ!
社内のコミュニケーション活性化にも!!

具体的な取り組みとしては、メンタルヘルスに力を入れています。10年ほど前から、会社の中でメンタルヘルスに問題を抱えて休暇をとる人が目立つようになり、対策を思案していました。ちょうどその頃2008年に、臨床美術というアートメソッドを持つ芸術造形研究所がトッパングループの仲間入りをしました。臨床美術は、認知症の患者さんの進行緩和や認知症患者さんの家族の心のケアに役立てるということで開発された芸術療法(アートセラピー)のひとつで、絵やオブジェなどを楽しみながら作ります。このセラピーの最後に開かれる鑑賞会で、臨床美術士という資格をもった講師が、参加者一人ひとりの作品に対して、「リンゴの甘い香りが伝わってくるような気がします」など非常に具体的な言葉で褒めてくれるんです。そうすると、参加者は自己肯定感を得やすくなります。また、仕事とは違う感覚でアート制作に集中して、リフレッシュにもつながりやすくなります。
この臨床美術が社員のメンタル面の活性化に役立つのではないかと思い、「アートサロン」という形で社員に提供することにしました。まず、東京の本社で始めて、今では全国で定期的に講座を開催しています。また、新人研修など各種研修にも導入しています。
参加者の約80%が心のリフレッシュにつながったとアンケートに回答しており、
実際に、この「アートサロン」の参加者の職場での表情が明るくなったという上司からのフィードバックもありました。他の参加者たちとプログラムを一緒にやりながら、職場や仕事の枠を超えた交流ができるので、社内のコミュニケーションの活性化にもつながっているようです。


心と身体のコンディションは切っても切れない関係!
パフォーマンス向上をめざした新たな取り組み

メンタルヘルスに関するいろいろな事例をみていく中で、心のコンディションと身体のコンディションは切っても切り離せないのではないかということに気づきを得て、数年前から、心身のコンディションを整えてパフォーマンスをアップするための取り組みも始めました。専門家の先生とも相談し、まず注視したのが「睡眠」です。質の良い睡眠とパフォーマンスの関連性やベストなコンディションを保つ睡眠方法などの最先端の知見を専門家から学ぶセミナーを実施したり、e-ラーニングで情報を発信したりしています。
マインドフルネスとストレスマネジメントのプログラムも実施しています。このプログラムでは、屋外でのフィールドワークを通じて、運動がどのようにストレス軽減の効果をもたらすかなどを体験してもらっています。参加者の約70%が疲れやだるさを感じた時にとる行動に変化があったと回答しており、約85%が効果を実感できたと回答しました。

健康保険組合でも、Physical(身体)、Meal(食)、Mind(心)の頭文字を取った「P・M・M活動」というメソッドを提供しています。その「Mind」対策の一つとして、2017年から、学校の保健室のイメージで、診療所の保健師や看護師などの医療職と新入社員の面談を実施しています。社内ですれちがった時でもちょっとした声かけができるので、新入社員も悩みを話しやすくなっているようです。評判が良く、今は、対象者の範囲を入社2年目まで広げて実施しています。
メンタルヘルスに対しては、ご紹介したさまざまな角度からアプローチしていますが、成果がでるのはこれからだと思っています。若いうちから、ストレスマネジメント力を身につけた人がこれからどんなパフォーマンスをみせてくれるか、今後もフォローを続けたいと思います。そして、最終的には、社員全員がストレスマネジメントできることが当たり前になると良いと思います。

「身体」のコンディションはどうサポートする?運動に対する取り組みとは……