さあ、予防医療!
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全国の健康増進活動を発信「社会にひろげる予防医療!」

自治体での活動事例

企業・健保組合での活動事例

全国の自治体でおこなわれている健康増進活動の取り組みを紹介しています。
ぜひとも、皆さまの自治体での活動の参考にしてください。記事は都道府県やキーワードでの検索が可能です。

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沖縄県八重山郡 竹富町立竹富診療所

島民の健康意識改革に挑む!
離島診療における予防医療の重要性

島唯一の医療機関、竹富町立竹富診療所

沖縄県八重山郡竹富町に属する竹富島では、島唯一の医療機関である竹富診療所を中心に、竹富町役場や竹富公民館が連携して島ぐるみの予防医学活動に取り組んでいます。医療講話やウォーキング会、島の清掃活動、体力測定会など健康イベントの開催に加えて、島内でのたばこ販売を全廃。生活習慣病が原因とされる脳心血管系イベントによる救急搬送の減少や、特定健診受診率の向上といった成果につなげています。取り組みを主導してきた、竹富町立竹富診療所所長の石橋興介先生(岩手医科大学 救急・災害・総合医学講座 総合診療医学分野 非常勤講師)にお話を伺いました。

島の疫学データから見えてきた「竹富島クライシス」

平成27年4月から竹富診療所所長を務めている、石橋興介先生

沖縄県=長寿県というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は厚生労働省が5年ごとに発表している都道府県別平均寿命ランキングでは、沖縄の男性は36位(平成27年)と下位に位置しています。女性も平成17年まで1位を守ってきたものの、平成22年に3位、平成27年には7位と順位を落としました。
その要因と考えられるのが、若い世代の死亡率の高さです。平成27年に竹富診療所に着任してからデータを調べてみたところ、全死亡者に占める65歳未満の死亡割合は、全国平均12.6%に対して沖縄県は19.8%でワースト1位となっています(平成25年度)。しかも、竹富島を含めた竹富町では沖縄県全体よりさらに高い23.3%。特に男性は33.3%と非常に高値でした。

また、竹富町の1人あたりの医療費は月に約1万2千円と全国の半分ほどしかなく、定期的な受診ができていない状況が推察されます。さらに竹富町の外来と入院の割合をみると、外来が97%、入院が3%であるにもかかわらず、入院費の割合が費用額の約50%を占めています。これらのデータから、通院をしないまま重症化して入院する人が多いという実態が浮かび上がってきました。

診療所のシステムを完全予約制に変更し、定期的な通院を促す

この状況を受けて、まずは診療所の診察体制を見直しました。予約なしの当日受付順番制から、完全予約制に変更したのです。島の疫学データからもわかるように、島の人が医療機関を利用するのは具合が悪いときに限られ、定期的に受診する習慣は定着していません。ですから受診したその日に再診の予約を取り、お薬が残っていてもそうでなくても必ず受診するシステムにしました。これにより定期的に通院される方が増え、残薬のチェックもできるようになったことで患者さんのアドヒアランス向上につながりました。

一方で、私が健康状態を把握できるのは診療所を利用する人たちに限られており、未受診者には手を差し伸べることはできません。そこで、島民の生活習慣に積極的に介入していくため、竹富町で2009年からスタートしていた町健康増進計画「ぱいぬ島健康プラン21」にコミットすることにしました。

「ぱいぬ島健康プラン21 in 竹富島」推進部会の構成メンバー(提供:竹富診療所)

竹富町は、西表島や波照間島、竹富島など9つの有人島から構成されており、「ぱいぬ島健康プラン21」は島ごとに結成された推進部会が中心となって進められています。竹富島の推進部会は、診療所スタッフのほか公民館長や小中学校長、老人会・婦人会・青年会の代表者、郵便局長、民生委員、消防団員といった島の要職に就く方のほか、町役場の保健師、栄養士など多職種で構成されています。すでに歩け歩け運動やJOYBEATなどの子どもからお年寄りまで参加できるスポーツイベントや、管理栄養士による料理教室などが開催されており、島の推進部会と協働することで、効率よく予防医学活動を進めていけるのではと考えました。

多職種からなる推進部会を結成! 島ぐるみの健康づくり「ぱいぬ島健康プラン21 in 竹富島」がスタート

健康づくりに取り組むにあたって、推進部会のメンバーと共有したのが竹富島診療所で治療している生活習慣病の患者数です。竹富島は人口約360人、そのうち成人は約280人という小さな島にもかかわらず、高血圧の方が61人、脂質異常症が42人、糖尿病が17人もおられます。これらの3疾患は、脳卒中や心筋梗塞など脳心血管疾患の危険因子です。一人の患者さんが有する危険因子の数を調べてみると、危険因子を1つ持っている人は29人、2つが27人、3つすべて持っている人が17人でした。しかも、3つ持っている17人は大半が60代以下の働き盛りが中心であり、脳卒中や心筋梗塞の既往歴がある人も含まれています。この状況に「何とかしなければ」という機運が高まり、改めて推進部会を「ぱいぬ島健康プラン21 in 竹富島」と名付けて、予防医療活動をより強力に進めていくことになりました。

竹富島には白砂の道や赤瓦屋根の民家、石垣など、昔ながらの沖縄の原風景が残っています。この美しい自然や歴史、文化は先人たちの努力によって守られ、受け継がれてきたものです。しかし、若い世代に危険因子を持っている人が大勢いれば、この先島を守っていく人がいなくなってしまうことにもなりかねません。島民が健康でなければ島は守れない――島を守り愛する皆さんの思いが、健康づくりを進める原動力になっていると感じています。

島民の健康を守るため、思い切った施策も実行! 果たしてその成果は・・・

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