さあ、予防医療!
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全国の健康増進活動を発信「社会にひろげる予防医療!」

企業・健保組合での活動事例

自治体での活動事例

全国の企業・健保組合でおこなわれている健康増進活動の取り組みを紹介しています。
ぜひとも、皆さまの企業・健保組合での活動の参考にしてください。記事は50音順(企業名)やキーワードでの検索が可能です。

  • メタボリックシンドローム
  • 生活習慣病

株式会社タニタ

「健康をはかる」企業から「健康をつくる」企業へ。メタボ社員ゼロを目指した独自の健康プログラムで健康意識の向上と医療費の適正化を実現!

株式会社タニタでは、平成20年に新社長(谷田千里氏)がメタボリックシンドローム(メタボ)予備軍の社員の存在に気がついたことから、メタボ社員ゼロを目指す健康対策に着手しました。自社商品の体組成計や歩数計を利用してからだや行動の変化を「見える化」。その結果を生活習慣に反映させ、健康管理につなげるというプログラムに全社員で取り組んだのです。健康プログラムは医療費や体重の適正化という成果をもたらし、同社は「健康をはかる」だけでなく、「健康をつくる」健康総合企業であると認知されるようになります。健康プログラムの開発に携わった株式会社タニタヘルスリンク代表取締役社長で、株式会社タニタのCHO(チーフ・ヘルスケア・オフィサー)を務める丹羽隆史さんにお話をお聞きしました。

「健康をはかる」企業だからこそ、まずは社員が“メタボゼロ”へ

株式会社タニタヘルスリンク代表取締役社長 丹波隆史さん

株式会社タニタヘルスリンク
代表取締役社長 丹波隆史さん

タニタが健康プログラムを導入したきっかけは、平成20年度に特定健康診査や特定保健指導がスタートし、生活習慣病予備軍である「メタボリックシンドローム」に注目が集まったタイミングで社長が交代したことでした。就任した新社長が社内を見渡したとき、腹囲が太めでメタボ候補と思われる社員が目に留まったのです。タニタは世界で初めて乗るだけで計測できる体脂肪計を開発・発売した企業であり、「健康をはかる」を企業ドメインにさまざまな健康計測機器の開発・販売をしてきました。そのような企業にふさわしく、まずは社員が健康になろう、とメタボ対策を社内で実施することとなりました。
タニタが考える健康的なからだづくりは、「食事」「休養」「運動」の健康の3要素をバランスよく取り、体重や体脂肪率など体組成の変化を「はかる」ことで可視化して、からだへの影響を実感・改善していくことで進められます。体組成の計測を習慣化すれば、自分のベスト体重や、暴飲暴食を続けると体脂肪率が増加するなど生活習慣と密接な関係があることがわかります。体組成をはかって現状を知り、日常生活を振り返り、原因を確認して生活習慣を変える…「はかる」「わかる」「気づく」「変える」というPDCAサイクルを回すことで健康管理を行うのです。ヘルスケア推進部と総務人事部でプログラム内容を練り上げ、実際にプログラムをスタートさせたのは翌年の平成21年1月でした。

自社の体組成計や歩数計を健康づくりのツールに。
レシピ本で話題の社員食堂も活用

健康プログラムの目的は社員の健康増進とメタボゼロの達成です。まず、社内のリフレッシュルームに体組成計を設置し、全社員が2週間に一度は体重や体脂肪率、筋肉量を計測してデータを専用サーバに転送することにしました。
次に、歩数計を全社員に配付。各自で毎日の歩数データも専用サーバに転送します。転送したデータはタニタが開発した健康管理ポータルサイトに蓄積されて自動でグラフ化され、個人のパソコンやスマートフォンでからだの変化を確認できます。
さらに、特定健診の結果でBMI(ボディ・マス・インデックス)、血圧、腹囲、血糖、脂質の数値がメタボ該当者あるいは予備軍だった場合、集団と個別で健康指導を行いました。内容は、国の推奨する「動機付け支援」や「積極的支援」に準拠したもので、健診のデータから生活習慣改善の重要性を指導し、目標や行動計画を定める「動機付け支援」を行ったあと、継続できるよう定期的にアプローチする「積極的支援」を行いました。健康指導は、ヘルスケア推進部に所属する管理栄養士や保健師などの専門職が担当しました。
そして、社員食堂を食事に対する意識改革に活用しました。タニタの社員食堂が全国的に知られることになったのは平成22年のレシピ本「体脂肪計タニタの社員食堂」(大和書房刊)の出版がきっかけですが、すでに平成11年から社員食堂でヘルシー定食の提供を始めていました。献立が日替わりで1種類のみのため、日ごろメニューを選り好みしがちな人でも、肉や魚に偏ることなく摂ることになります。一汁三菜の定食スタイルを献立のルールとし、エネルギーは500kcal前後、塩分は3g以下に抑え、野菜は150~250g摂取するメニューとなっています。1食全て食べても成人女性の1日の推定エネルギー必要量の3分の1を下回り、塩分は厚生労働省が男性の目標量とする1日8g未満の3割強に抑えられ、野菜は厚生労働省が摂取を推奨する1日分の野菜350gの4~7割程度を摂ることができます。「飲み会の翌日は社員食堂でカロリーを抑えたバランスのよい昼食を摂ろう」というように、社員の食に対する意識を高め、適切な食事の把握にもつなげようと試みました。

はかるだけではつまらない? 歩数イベントを実施し歩数記録のランキング発表

休憩スペースに貼り出されたランキング表

休憩スペースに貼り出されたランキング表

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健康プログラムスタートに際しては、社内で活用していたグループウエアの掲示板を使い、社員に告知をしました。体脂肪計や体組成計のメーカーですから、社員は健康を意識している人が少なくありません。しかし、プログラムに継続して取り組んでもらうためには、簡単で楽しみながら続けられる仕組みや仕掛けが必要でした。
単にデータを転送して蓄積するだけでは歩くための動機付けが弱いことから、3カ月に1回「歩数イベント」を開催しました。自分やほかの社員の歩数の順位がウェブ上でリアルタイムにわかるので、順位を上げるために歩数を伸ばすのではないかと考えたものです。順位が明らかになると「あと何歩で同僚を追い越せるからもう少しがんばろう」とひと駅歩いたり、エレベーターではなく階段を使ったりした社員も多くいたようです。歩数イベント期間中はイベントがない期間に比べ、ほとんどの社員で1日平均1,000歩ほど歩数が増えており、イベントの効果を強く実感しました。
ITに馴染みのある社員ばかりではないので、ランキングはウェブ上だけでなく、リフレッシュスペースや食堂にも貼り出しました。優秀な成績の人だけでなく、1カ月に1度も体組成計や血圧計のデータを転送しなかった人についても、叱咤激励の意味をこめて名前を貼り出しています。

医療費を9%適正化、「健康をはかる」から「健康をつくる」企業へ進化

健康プログラムに取り組んだ結果、どのような成果があったのかを、タニタが所属する健康保険組合と連携して解析しました。健康プログラム導入前の平成20年度と導入後の22年度を比較したところ、社員の医療費が約9%低減していました。
一過性の変化かもしれないと23年度、24年度の医療費も確認しましたが、やはり減少傾向にありました。ただし、社員一人当たりの年間医療費はすでに人口一人当たりの国民医療費の半額以下まで減っており、健康管理に気を配ってもある程度医療費はかかりますから、これ以上は低減しないだろうと考えています。
もう一つ変化があらわれたのは社員の体重です。適正体重といわれるBMI18.5~25の割合が、平成20年度は約70%でしたが、22年度には約75%に増加していたのです。
さらにこの健康プログラムがメタボ解消成功事例として厚生労働白書に取り上げられるなど高い評価を得たり、社員食堂のレシピ本が大ヒットしたりしました。これらにより、体重計や体組成計のメーカーだと捉えられていたタニタに対し、健康をつくることに貢献する「健康総合企業」というイメージが定着していきました。

「タニタの健康プログラム」の結果

プログラムスタートから9年、継続するためにどんなブラッシュアップが…?

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